「平凡な人生を 」
「大それたことをしない 」
陸上だけではなくすべてのことにおいて 、僕がこれまで自由に人生の選択を重ねてこられたのは 、こうした母の言葉があったおかげだ 。母のこの言葉は 、僕にとっては 「保険 」のようなものだった 。仮にすべてのものを失ったとしても 、僕のなかにはなくならない何かが残っているという感覚だ 。
為末さんが100m選手を諦め、ハードルでやってみようと切り替えられたのは、考え方にアソビがあり、かつ、なんでもやってやろうという前向きな姿勢があったからに違いない。
その秘訣はなんだったのだろう。
それはこのお母さんの言葉にある。
平凡な人生でいいじゃないと、ハードルを下げられたから、ハードルを越えたくなったのだ。
安心してチャレンジできたのだ。
子どもの性格にもよるだろうし、近くの山に毎日登るという意志力の強いこのお母さんの言葉の重みなどもなかなか再現は難しいだろう。
しかし、「保険」になる言葉をかけてやるという発想は大切だ。子供に期待ばかりを伝えて、プレッシャーをかけていないだろうか。ハッパばかりをかけていないだろうか。
普通でいい。人生は楽しい。そんなメッセージを、普通に生きてる親としてもっと発信したいと思った。