ビジネスの世界では、がんばったらがんばっただけ成果が出るが、家族とのつきあいにおいては、いくらがんばってもまるで成果が出ないどころか、それが裏目にも出る。トラブルの連続だ。だからおもしろい。そして、それこそがリアルだ。
(中略)
人間の複雑性を理解してこそ、誰もが欲しかったのに世の中に存在しなかった斬新な商品やサービスを生み出せるのだ。
仕事もしんどいよ。だけど、ビジネスの問題なんて、家族の問題に比べたらシンプルで簡単なものだ。
家族の日常のなかでは、全く別の人格を持つ人と人が、素な行動や感情を惜しげも無く表現しあい、ぶつけ合い、共に生きていくわけだから、裏目ったり、なぜか不機嫌な空気に包まれたり、喧嘩したり、理不尽の連続なのだ。それでも、だからこそなのかもしれないが、ふと、じわっと泣きたくなるくらい嬉しいこともある。家族と過ごす中で得られる喜びというか幸せというのは、言葉では表現しきれない。
ただ、この本はこう断言している。
家族との毎日の暮らしの中で、理不尽に身を置いていることは、とても価値あることである。
人間の複雑さを知ること。そして、理不尽の中でも自分を見失わず、楽しみを見つけ、前に進む力。前に進まずとも、人間というものをしっかりと味わえていること。
それこそが新しいモノゴトを生み出せる人間になるために大事なことなのだ。
いいんだ。これで。
家族としっかり向き合おう。
そして理不尽に揉まれまくろう。