いや、君が大人になるとわかるけれど、こういう自分中心の考え方を抜け切っているという人は、広い世の中にも、実はまれなのだ。
殊に、損得にかかわることになると、自分を離れて正しく判断してゆくということは、非常にむずかしいことで、こういうことについてすら、コペルニクス風の考え方のできる人は、非常に偉い人といっていい。
たいがいの人が、手前勝手な考え方におちいって、ものの真相がわからなくなり、自分に都合のよいことだけを見てゆこうとするものなんだ。
出典「漫画 君たちはどう生きるか」
80年前の名著であり、宮崎駿監督の新作となることが先日発表された「君たちはどう生きるか (岩波文庫)」のマンガ版が、最近発売された。
中学2年生のコペル君が成長する中で、人混みを眺めていたときに人間なんて水の分子にすぎないのかもと気づいたことを、地球が自ら動いているのではないか?というコペルニクス級の発見なのだと叔父さんは褒めた。
そして、この言葉を添えたのである。
地球が自転してるんだよというのはさすがに今やあたりまえだけれど、そんなわけがないと、自己中心的な視点から脱せずに、真実が見えなくなっている人がほとんどなのだと。
かなり、厳しい難題というか、人間てそうだよねという話がいきなり突きつけられている。
簡単ではないが、まずは人間てそういうことに陥りがちだということをしっかり認識することで、少しでも、都合の良い真実ばかり見ることから逃れるきっかけを得るかもしれない。
大きな視点を忘れないようにしたいと改めて感じた。