相手の一生に対して、責任を持って確実に面倒を見ることができるのであれば、こちらの都合で引き留めることもできると思いますが、そんなことはそもそも不可能です。ならば、やはり相手の意思を尊重するに限ります。
筆者の出口治明さんが、この本で語っている、歴史や古い文献に学ぶしなやかに生きるための知恵の中に、去る者追わず来るもの拒まずな話があります。
会社を辞めたいという優秀な部下や後輩に対して、どういう姿勢で応じるかについて、この言葉は、一つの明確な答えを示してくれているような気がします。
人と人を結びつけるものは、平たく言ってしまうと「利害」ですが、相手の夢や、相当悩んで決めたことに対し、こちら側の目先の利害だけを念頭に対応するのは、よくないことだと感じました。相手の一生を背負い切れるわけではないのですから。