私たちは人間にも悪魔にもなり得ますが、両者を分かつのは、ただ「システムを批判的に思考する」ことなのです。
アンナ・ハーレントが提唱する「悪の陳腐さ」の話は、会社や組織で働く私たちに、思考停止することの恐ろしさを問うてきます。
ユダヤ人虐殺の主犯格であるアイヒマンは、ただ、組織の方針に従っていた従順な普通の人だったという衝撃のエピソード。
これを聞くと、システムを疑わずに、ただその中でうまくやろうとする人が、とんでもなく悪人であることが浮き彫りになります。
組織の中で、システムを批判的に思考すること。それは、たしかに労が多く、場合によっては、出世の妨げになります。イエスマンが便利なのですから。
しかし、それによって、悪魔が生まれかねないということは、肝に命じておくこととしましょう。魂までを売ってしまってはダメで、自分の思いというものが、やはり大切になるのです。